エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』ノート
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Notes: Chapter 2 エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』 ノート



        第2章 個人の解放と自由の多義性


・自由……人間存在そのものを特質づけている

・自由の意味……人間が自分を独立・分離した存在として意識する
        程度にしたがって違ってくる。

・子どもの個性化の過程
   第一次的絆(原始的絆)を断ち切る

 個性化の進む過程の弁証法的性質

 ┌自我の(力の)成長……肉体的・感情的・精神的に強さ、
 │           積極性、綜合化
 │
 └孤独の増大……他人から引き離された存在であることの自覚
    │         │
    |         └─外界からの分離─→無力と不安の感情
    │
    └→克服しようとする衝動 = 新しい絆
                 (第一次的絆と同一でない)

・孤独と不安を回避する方法

 ┌ 服従……子どもの不安の増大、敵意と反抗
 │
 └ 人間や自然に対する自発的な関係 = (唯一の)生産的な方法
     もっともはっきりしたあらわれが愛情と生産的な仕事

・二つの傾向のズレ
   │
   | ┌個性化の過程……自動的
   │ │
   | └自我の成長 ……個人的・社会的理由で妨害
   │
   └⇒ たえがたい孤独感・無力感 ⇒ 逃避のメカニズム

・「……からの自由」と「……への自由」
    消極的自由    積極的自由

・人間の生物学的弱さ=人間文化の条件

・人間的自由の成長過程(⇔個人の成長過程)
  弁証法的性格

   ┌ 力と統合、自然の征服、理性の発達、他の人間との連帯性
   │
   └ 個性化の進展→孤独・不安、個人の無力さ・無意味さの感情

・中世末期以来のヨーロッパおよびアメリカの歴史
   │
   │
   ├→ 個人の完全な解放史
   │
   └→ 他方「……からの自由」と「……への自由」とのズレ拡大

     その結果、
      自由から新しい絆への、少なくとも完全な無関心への、
      恐るべき逃走が起こった。

・近代人の形成段階

  中世末期、近代初頭におけるヨーロッパの文化的様相

  宗教改革の時代と現代社会の類似性(イデオロギー的、社会的)
    中産階級の動向    ~~↑~~
                │
   ◎宗教改革の2つの側面←─┘

    ┌自由や自律の観念のひとつの源泉
    │
    └個人の無価値、独立できない根本的な無力、服従への要求
             ‖
             ‖
         ヒットラーのイデオロギーの主要テーマ


                         (堀場康一 記)
    






(Ver. 1.04 2000/06/03)
Copyright (c) Koichi Horiba, 1997