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ライフスタイル(生活様式)やライフスタイリングについて、ずっと思い巡らしてきました。 思いを巡らしているだけでは何事も始まらないので、ライフスタイリスト宣言をさせていただくことにしました。 ライフスタイリングは、ライフスタイルと結びついているものの、必ずしも定まった定義がありません。 ライフスタイリングについて、ぼく自身の考えをここにまとめておきます。 ライフスタイリングの入り口の議論ですが、ご一読いただければ幸いです。(堀場康一 記) |
ライフスタイリングとライフスタイリスト 目次 |
1.ライフスタイリング事始め 2.ライフスタイルの定義 3.ライフスタイルと消費者と流行 4.ライフスタイリングの一般的な意味 5.スタイリングとスタイリスト 6.仕事としてのライフスタイリング 7.ライフスタイリストはライフスタイルのサポーター 8.ライフスタイリスト宣言 9.まとめ |
1.ライフスタイリング事始め ライフスタイルについて議論するとき、大切だと思われれるのは次の事柄です。 ●ライフスタイルの議論で大切な事柄 (1) 各人のライフスタイル(生活様式)の改善・向上 (2) 異なる多様なライフスタイル(生活様式)の尊重 (3) 健康で文化的な暮らしの追求 これら (1)〜(3) がたんなる理念に終わらないようにするには、それらを実現するための手段・方法・手続きを明確にする作業が必要です。 このような作業がライフスタイリングに通じると考えられます。 ライフスタイルといえば、一般に衣食住が話が中心となります。 しかし周囲を見回すと、衣食住にかぎらず、ほかの分野でも、ライフスタイルの議論は日常的に行われています。 すなわち、ライフスタイルは、日常生活のすべての分野に関わるといえます。 ところで、自分の生活を構築することが絶えざるぼくの課題です。 仕事ぬきに生活構築はありえないので、仕事との結びつきを考慮します。 仕事との結びつきが、ライフスタイリングの実践につながるような気がします。 まずはこんな調子で、ライフスタイリングについて考えたいと思います。 |
2.ライフスタイルの定義 「ライフスタイル」(lifestyle) は、漢字に直せば「生活様式」です。 ライフスタイルの定義はいろいろありますが、マーケティングの本に記されている定義を引用します。 「ライフスタイルとは、人々の日々の活動、周囲の事物についての関心、および社会的、個人的問題についての意見などに反映された、その人固有の生活様式のことである。ライフスタイルの研究は、社会階層あるいはパーソナリティの研究よりも消費者に関することをよりよくとらえている。」 (フィリップ・コトラー、ゲイリー・アームストロング共著(和田充夫・青井倫一訳)『新版マーケティング原理──戦略的行動の基本と実践』ダイヤモンド社、1995年、171─172頁)。 ライフスタイルを一言で説明するのは容易ではありませんが、この定義はライフスタイルとは何かをうまく言い当てていると思います。 |
3.ライフスタイルと消費者と流行 前節のコトラーとアームストロングによるライフスタイルの定義のなかに、 「ライフスタイルの研究は、社会階層あるいはパーソナリティの研究よりも消費者に関することをよりよくとらえている。」 とあります。ここで言及されているように、ライフスタイルは消費者と密接につながっています。 われわれ消費者すなわち一般庶民にとって、ライフスタイルという言葉は馴染みがあり、親しみがあり、と同時に、振り回されやすい言葉でもあります。 そこに狙いを定めて、テレビやラジオのCMや広告に、魅力的な女性や男性が入れ替わり立ち代わり登場し、「あなたのライフスタイルを変えてみませんか」というたぐいの口説き文句で、消費者を誘惑する仕掛けです。 かくいうぼくも、茶の間でテレビを見ながら、そのようなCMや広告のさりげない誘惑を楽しんでいる一人です。テレビやラジオはライススタイルの宝庫です。 いまやライフスタイルを変えることが、一種の流行になりつつあります。 何をやってもそれなりに企業が収益を上げることができた時代から、景気の先行きが不透明な時代になってきたことも影響しているのかもしれません。 また地球温暖化、ごみや産業廃棄物処理をはじめとする身近な環境問題がクローズアップされてきたことも、そのような傾向に拍車をかけているのかもしれません。 愛知万博(愛・地球博)は2005年9月25日に成功裡に終了しましたが、その愛知万博では、「自然の叡智」をメインテーマに、環境に配慮した取り組みが展示対象となりました。 いずれにせよ、21世紀をいきいきと生きていくにはライフスタイルを見直し変えていかなければいけない、という考えを抱いている人は、少なからずいることでしょう。 このような人々に対し、ライフスタイルを改善するための適切な処方箋を一人一人に処方してさしあげることは、容易にできる業ではありません。 しかしライフスタイルを変えたいと欲している人々に、ある程度の方向性を指し示す試みは可能ではないか。100%満足させることは不可能にしても、ライフスタイルをより前向きで生産的なものへと変えていくための、何らかの手だてを工夫することはできるのではないか。 そのあたりが、ぼくの関心事です。 そのような作業を通じて、結果的に、自分自身のライフスタイルをより望ましいものへ変えていく手掛かりが得られるような気がします。 |
4.ライフスタイリングの一般的な意味 「ライフスタイリング」(lifestyling)は「ライフスタイル」(lifestyle)と「スタイリング」(styling)を組み合わせた言葉と考えられます。 辞書には「ライフスタイリング」「lifestyling」という単語はのっていませんが、たとえばサーチエンジン Google (http://www.google.co.jp/) を使い、 ライフスタイリング lifestyling というキーワードで検索すると、沢山の用例があることがわかります。 ライフスタイリングという言葉に定まった意味はありませんが、一般には、 「ライフスタイリングは、個々のライフスタイル(生活様式)を改善し向上させる様々な工夫を意味する。」 といえると思います。 |
5.スタイリングとスタイリスト 「スタイリング」と「スタイリスト」は、ここでは重要な概念なので、くわしくみていきます。 「スタイリング」に対応する英語の“styling”は、動詞“style”の現在分詞形です。 動詞としての“style”の意味は次のとおりです。、 ・style 1 …を(…と)呼ぶ、命名する、名づける、称する。 2 (服などを)特定の〔新しい〕型に合わせて作る。 3 …を特定の体裁〔文体〕にする; …の体裁を整える。 (『小学館 プログレッシブ英和中辞典』第2版、1990) このうち2と3が、実用的な物づくりと関係してきます。 さらに次のような説明もあります。 ・スタイリング[styling] (1)様式。外側の形。自動車などの外装。 (2)日用品やサービスなどの企画・デザインを新様式でまとめること。 (『情報・知識 イミダス1998』集英社) これらの説明から、「スタイリングは、特定の様式や体裁もしくは文体等で、企画・デザイン等の物事をまとめ上げ整えること」といえます。 スタイリングという言葉は日本では馴染みが薄いですが、その代わり日本では、スタイリングする人すなわち「スタイリスト」(stylist)という用語が、服飾デザイナーの意味で一般に使用されています。 スタイリストは、たとえば次のように説明されています。 ・ スタイリスト stylist <生活‐ファッション> 雑誌や広告の撮影、ファッション・ショーなどで、衣装やアクセサリーを選び、要求されるイメージに作り上げる人のこと。イメージを把握する能力はもちろん、具体的にどの店にどんな衣装や小物があるかをよく知り、それらの品をすぐ借り受ける必要があるため、知識、センス、キャリアが要求される。 同じつづりの仏語のスチリストは、デザイナーの意味。 (『朝日現代用語 知恵蔵1997』朝日新聞社) これを見れば、スタイリストにどのような能力や経験が必要か、明らかです。 スタイリストが一つの職業として成立している理由は、ファッション雑誌などの撮影やファッション・ショーにふさわしい衣装やアクセサリーの選択と構成能力、総合的なイメージの把握能力、どの店にどんな衣装や小物があるかの豊富な知識・情報、そして必要品をすぐ借り受けるための手配力を具えているからだといえます。他に室内装飾やインテリアの知識もあった方がベターでしょう。 スタイリストを名のる人は、程度の差はあれ、これだけのことを時間的制約のなかで日々実践しているわけです。職業として成り立たせるためにはこれだけのことをしなくてはならない、ということだと思います。 みかけの華やかさにあこがれて、生半可な気持ちでスタイリストになれるわけではありません。仕事のきびしさは、どのような職業であろうと共通のものかもしれません。 |
6.仕事としてのライフスタイリング 第4節では一般的なライフスタイリングの意味に触れました。 ここでは、仕事もしくはビジネスとしてのライフスタイリングという観点で、見直してみます。 従来の用法をみると、ライフスタイリングは、ファッションや住まいやインテリアなどの、流行を考慮した個性的なライフスタイルの提案・企画・演出などで使われることが多いようです。 ライフスタイルは、第2節で触れたように、衣食住にかぎらず、非常に幅の広い概念です。 したがって、ライフスタイリングの対象を衣食住にとくに限定する必要はないと思います。衣食住、生活文化、科学技術、経済、政治などが、ライフスタイリングの対象になるはずです。 もちろんすべての分野を対象とするのは不可能なので、自分の得意な分野、関心のある分野、有望な分野を選択することになります。 第5節のスタイリングおよびスタイリストの説明を考慮に入れて、仕事としてのライフスタイリングおよびライフスタイリストをここで定義しておきます。 ぼく自身は、仕事や職業との関わりで、主として次のような意味で使いたいと思います。
図式的に書けば、次のようになります。
以上は一般的な説明ですが、任意の分野・テーマで実際に作業をすすめることで、ライフスタイリングの内容が具体的に明らかになると思われます。 |
7.ライフスタイリストはライフスタイルのサポーター サッカーの日本プロリーグ、Jリーグが開幕したのは、平成5年5月15日でした。記念すべき第一戦は横浜マリノスがヴェルディ川崎に2─1で逆転勝ちしました。 このJリーグの発展につれて、選手とともにサポーターの存在が脚光を浴びることとなりました。 いまやサポーターは、サッカーに限らず、スポーツ全体に広がっています。 さらにスポーツ以外の分野でも、サポーターの役割・重要性が広く認識されるようになりました。 サポーターとの関連でいえば、ライフスタイリストは、まさしくライフスタイルのサポーターということになります。 |
8.ライフスタイリスト宣言 広い意味でライフスタイリングを実践している人々や企業は、すでに社会に数多く存在しています。 すなわち、特定分野のライフスタイルについて専門的な知識をもち、その分野を対象に何らかの商売を手がけることは可能であり、そのような商売は日常的に行われています。ファッションやインテリアデザインあるいはリフォームなどは、その典型例といえます。 それに対し、顧客の依頼に応じて、個々のライフスタイルの改善・修正を企画・提案し、新たなライフスタイルの実現をめざす、いわばライフスタイリングの専門職は今のところ見当たりません。 これはライフスタイルが、社会生活の広範な分野と関わりがあり、ライフスタイリングが専門職として成り立ちにくいことに一因があると考えられます。 いいかえれば、採算のとれる分野=市場にライフスタイルの焦点を絞ることは、特定のライフスタイルに偏らずライフスタイル全般を対象とする、本来のライフスタイリングのあり方と相反する一面があるからです。 このような状況のもとで、ライフスタイル全般を対象に、ライフスタイリングの専門家=ライフスタイリストとして名のりをあげることは無謀かもしれませんが、ぼく自身はこれからもライフスタイル全般に関心をもちつづけたいです。 そこで「ライフスタイリスト宣言」から始めることにしました。 |
9.まとめ 4節で触れたように、ライフスタイリングという言葉に定まった意味はありません。 したがって、自分がどのようにライフスタイリングという言葉を使うかが、ライフスタイリングの意味につながるはずです。 ぼくの関心は、仕事としてのライフスタイリングであり、ライフスタイリストの役割です。 ライフスタイリングをぼく自身の生活構築の一つの契機ととらえ、様々な課題・仕事に取り組むことで、ライフスタイリストの中身を充実させたいと思っています。 関連リンク ライフスタイリング事始め(2005/04/25付日記) ライフスタイリング: ライフスタイルの流行(2005/04/26付日記) ライフスタイリング: ライフスタイリングとは何か(2005/04/27付日記) ライフスタイリング: ライフスタイリスト宣言(2005/04/28付日記) |
(以上)