結婚について


 結婚について自分の考えをまとめたものです。30を過ぎた頃、横浜で英語を学んでいたときに、英文ライティングの一つとして結婚 (Marriage) について書きました。その日本語訳を作成しましたので、ここに収録します。

堀場康一 


◇ 結婚について


 結婚は人生の墓場であるとしばしばいわれる。これは皮肉な見方にすぎないとしても、ある程度の真実が含まれている。

 それでは、人々はなぜ結婚するのか。結婚する価値はあるのか。

 算数では、1プラス1は2(1+1=2)である。しかし結婚の話となると、1プラス1は2より大きく(1+1>2)、ときに私たちの予想を超えることがある。

 それは奇跡ではない。私たちの日常生活における、ありふれた出来事の一例にすぎない。

 結婚は1から2へのステップである。それは一人きりの世界から、二人が一緒にいる世界への跳躍である。独り言をいいつつ自分の時間を過ごしてきた人は、連れ合いとおしゃべりをし、ともに行動するようになる。

 たしかに独身者の生活はそれほど憂鬱でなく、気楽かもしれない。しかし、私たちに不可欠な精神的落ち着きもしくは安堵感のような、何かが欠けている。

 恋愛結婚であれ見合い結婚であれ、結婚にはいくつかの基本的要素がある。

 愛や尊敬だけでなく、忍耐や妥協も必要である。ときには私たちは忍耐強くなくてはいけないし、お互いに妥協しないといけないこともある。すなわち、中庸の道を取ることで、私たちの意見の違いを小さくする必要がある。とはいうものの、私たちはそういうことを忘れがちだ。

 同様に、相互の助け合い・協力・理解がとても大切である。これらのことは、個人個人の関心や興味とかならずしも一致しないわけではない(一致する場合もある)。

 性格の不一致は離婚原因の一つになりうるが、性格の不一致がカップルの関係につねに悪影響をもたらすとは、私は思わない。その反対に、ある場合には、性格の不一致はよりよい影響をもたらし、実り多く生産的ですらある。

 一般に日本では、既婚者は独身者よりも社会的に認められている。独身者に比べ、既婚者のほうが社会的評価が高い。既婚者のほうが少し多く出費を節約できる。そして隣人との関係も、既婚者のほうが円滑に運ぶことが多い。

 ところで、おのおのの家族でよりよい物事や幸福を追求することが、ついには世界中に広がる可能性はあるだろうか。

 私はそれがたんなる夢だとは思わない。しかし、それを実現するためには、まずもって、おのおのの家族が幸福でなくてはいけない。それならば、私たちは日常生活の場で何をすればよいのか。これがまさしく問題である。

 結婚は人生のゴールではなく、新しい生活へのスタート地点である。そして幸福を追求しながら、人々は将来もさまざまなやり方で奮闘するであろう。


(付記)

 ずいぶん前に自分が書いた英文を日本語に訳しながら、今も昔も、結婚に対する自分の考えは大してちがいがないことがわかりました。少し堅苦しく映る文章かもしれませんが、ぼくは結婚をあまり堅苦しく考えていません。ぼくもチャンスをつかんで、結婚という新生活のスタート地点に立ちたいと思っています。


関連リンク
結婚について (2007/07/27付日記)
英文ライティング、結婚について(2004/09/18付日記)
英語の原文: Koichi Horiba,“Marriage”, August 14, 1981.

(2007/08/04更新)




2011/03/23 Ver. 1.02
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